「速読」より「深掘り」が成果を生む
結論から言う。ビジネス書を「速く読む」ことに価値はない。重要なのは「深く読む」こと、そして「行動に繋げる」ことだ。多くのビジネスパーソンが陥る罠は、話題になった本を次々と読み漁り、知識をインプットした気になって満足してしまうことだ。
私は最初の起業で、とにかく多くのビジネス書を読んだ。ドラッカー、コトラー、ポーター…当時の私は、まるで読書量が知識の量に直結すると信じていた。しかし、いざ事業を立ち上げると、知識はあっても具体的な行動に移せない自分に直面した。例えば、マイケル・ポーターの「競争戦略」を読んでも、「5F分析」のフレームワークを頭では理解しているつもりでも、自社の事業にどう適用し、どのような戦略を立てるべきか、具体的なアクションプランが描けなかったのだ。これはまさに「知っている」と「できる」の間の深い溝だった。この失敗から学んだことは、量を追うより質を追求し、1冊の本から最大限の価値を引き出す読書術が不可欠だということだ。
実践に繋がる「問い」を持つ読書法
では、具体的にどう読むべきか。私は以下の3つのステップを推奨する。
- 目的意識を持って読む:「この本から何を得たいか?」「今抱えている課題解決にどう役立てるか?」という具体的な問いを事前に設定する。例えば、私がM&Aを検討していた2020年には、ジャック・ウェルチの「ウィニング」を読み、「GEはどのようにして企業文化を統合し、シナジーを生み出したか」という問いを持って読んだ。
- アウトプットを前提に読む:読んだ内容を誰かに説明する、あるいは自分の言葉で要約することを前提に読む。重要な箇所にはマーカーを引き、余白に自身の考えや具体的な行動アイデアを書き込む。私は、読み終えた本の内容をA4用紙1枚にまとめ、自社の幹部会議で発表する、というルールを自分に課していた。これは、情報の定着だけでなく、自身の理解度を試す絶好の機会となった。
- 即座に行動に移す:読書で得たインサイトは、可能な限り早く実践に移す。小さな一歩でも構わない。例えば、ティール組織に関する本を読んだなら、まずは部署内での情報共有の方法を少し変えてみる、といった具合だ。行動することで初めて、その知識はあなたの血肉となる。
私が2023年に立ち上げた3度目のスタートアップでは、この読書法を徹底している。特に参考になったのは、リブ・コンサルティング社の関 巌氏が提唱する「フレームワーク思考」である。単にフレームワークを覚えるのではなく、その背景にある思考プロセスを理解し、自社の事業に「転用」することを意識して読書に取り組んだ結果、新規事業の立ち上げスピードと精度が格段に向上した。
読書は投資である
ビジネス書は自己投資だ。時間と費用を投じる以上、最大限のリターンを追求すべきだ。漫然と読むのではなく、目的意識を持ち、アウトプットを前提とし、そして何よりも行動に移す。このサイクルを回すことで、あなたの知識は本物の武器となる。今日からその読書習慣を変え、圧倒的な成果を生み出してほしい。